Sweet Fragrance

政宗×小十郎


「政宗様にチョコあげようとしている奴、前へ出ろ、前だ・・・・・・!!」

2月中旬にさしかかった、とある冬とはいえ比較的暖かく感じる昼下がり、奥州筆頭伊達政宗の忠犬と名高い片倉小十郎の静かで重々しい、凄みのある声が響いた。
 新しいもの好き、国際派の政宗の影響もあり、昨年にもまして浸透しはじめた俗に言う『Valentine's Day』なるものに踊らされる家臣をはじめとする奥州住人。
 更に今年はどこから聞きつけたのか、他国の名だたる武将の顔もあるではないか。
 政宗様一筋○十年の小十郎にとっては、気が気でない日々の幕開けでもある。
 この時に便乗して首を取る気か、はたまた奥州一のアイドルを手中に収め、あれこれする気か・・・・・・
 考えれば考える程苛立ちと不安は募る。

「あ〜あ、バカだね・・・・・・・あいつら。片倉殿を完全に怒らせたぞ」
「たかがチョコ、されどチョコだな。政宗様絡みだと、理性ブッ飛んでしまうから、あのお方。見ろ、腰の剣に手をかけている。抜いた瞬間、何人餌食になるやら」
 今年で何度目かのこの状況を知っている雑兵の口から、片倉小十郎の武勇伝が語られる。
 その話と小十郎の断固たる凄みで、政宗にはびころうとする害虫を一層したのだが―――

「おい小十郎、余計なことをしてくれたな。あんなかに極上のチョコがあったかもしれないんだぜ? その責任、お前が取れるのか?」
 散っていく小十郎曰く害虫を、勿体なさそうに見つめながら、政宗が背後から近づいてきた。
「も、もちろんでございます、政宗様。この小十郎にぬかりはございません。できますれば、お人払いを・・・・・・」
 あたかも自信ありげに言いながら、人払いを要求する。
 そんなにも極上なのかと、政宗の喉を生唾が音をたてて流れ飲み込まれていく。
 視線で人払いをすると―――

「って、何やってんだ、小十郎?」
 突如衣服を脱ぎ捨て、裸体を疲労する。
 数々の傷跡が、今のこの地位があるのだと、政宗は誇らしげに魅入ったその時だった。
 脱ぎ捨てた衣服の懐から瓶を取り出し、自ら己の頭からかけだす。
 甘い甘い香りが漂い、それがチョコレートの液体であるとわかると、政宗は開口一番「勿体無い」と叫び、瓶を持っていた小十郎の手を握りその行為を止める。
「お止め下さいますな、政宗様。これが極上のチョコレートでございます。全身にチョコレートを纏った私を召し上がってください・・・・・・政宗様!!」
 暖かいと言っても2月、流れる液体はすぐさま固まり、小十郎の身体をコーティングしていく。
「I am splendid!! いかしてるぜ、小十郎」
ニッと笑う政宗に、小十郎の気持ちが高ぶる。
「恐れ入ります。政宗様を満たすのは、この小十郎の役目。ささ、どうぞ政宗様、お好きな場所から召し上がってください」
 仁王立ちする小十郎の唇に政宗の唇が重なる。
 甘い香りが鼻につき、なぞる舌からほんのり苦味のあるチョコレートの味が広がっていく。
 美味であった。
 今まで食した何よりも―――
 もっと欲しい・・・・・・政宗の舌が小十郎の口の中へと忍び込み、這うようにねっとりと彼の舌にもこの味を味あわせた後、頬から首筋、鎖骨から胸板へと舌と唇を使い舐め尽くした。
「んっ・・・・・・」
 乳首にかかったチョコを舐めて吸い取る。
 小十郎の口から初めて艶やかな吐息がこぼれだした。
「相変わらず、小十郎は乳首が感じるんだな」
「政宗様のテクがあってこそ、です」
「言うじゃねぇか・・・・・・けどお前感じるの、乳首だけじゃねぇよな。どこだっけ? そこ、教えろよ」
「また・・・・・・ですか? いい加減覚えて頂かないと」
「固いこと言うなよ。今日は『Valentine's Day』特別バージョンだ。堪能したいだろ? 俺の舌か、もしくはコレでよ?」
 硬くなったモノを小十郎の手に握らせる。
「こんなに硬く・・・・・・」
「だろ? 俺も我慢できねぇし、早くしてくれねぇと、何すっかわからねぇぜ?」

 ふっ―――と、軽く鼻で笑い、小十郎は仕方ありませんね・・・・・・とだけ言う。
 一拍置き、膝を折り、政宗を見上げて乞う。
「ここでございます、政宗様。この穴が空洞が、政宗様をいまかいまかと待ちわびております」
「ちっ・・・・・・待っているのは、穴だけか?」
「いえ。小十郎も、政宗様のお慈悲にあやかりとうございます」
「だな。いいぜ。自分で広げろ」
 地面に寝そべり、腰からお尻を両脇から持ち上げ足を開く。
 自然と穴は丸見えとなり、政宗を誘う。
「お前もしっかりと味わえよ」
 残っていたチョコレートの液体を自分のモノに垂れ流し、そのまま小十郎の中へと進入する。
「最高です。政宗様からチョコレートを頂けるなど、身に余る光栄」
 半生状態で挿入され、小十郎の胎内で再び液体へと変化する。
 しっかりと準備をしたわけではないが、チョコが小十郎が生み出す液体の代役となり、滑りは好調、内壁のヒダが適度に政宗のモノに絡み、締め付け、彼の身体が楽しんでいるのが伝わってくる。
「んっ・・・あぁ・・・、いいです、政宗様。小十郎は幸せ者にございます」
「当たり前だろうが、この俺様が楽しませてやってるんだぜ? ほら、もう小十郎の先端から白いモノが滴っている。感じ易い身体だぜ」
 グッと奥まで貫けば、小十郎は身体を痙攣させて悦ぶ。
 もっと奥にと強請るように、腰を高く突き上げ左右に振る。
「寒くねぇか、小十郎」
 日中の体感温度が暖かいと感じる時間帯は短い。
 衣服を着たまま、必要な個所のみの露出の政宗と違い、小十郎は全裸である。
 触れている身体は火照っているが、太ももから下は鳥肌なのか、ザラッとした感触に受け取れる。
「寒くなど、ございません。政宗様の腕の中にいて、寒いなど・・・・・・」
 とはいうものの、次第に唇の赤みが薄れていく。
 だが、このまま終われる程、ふたりはまだ満たされてはいない。
 政宗の腰の動きが速くなる。
 肌と肌が当たる音と、胎内で絡み合い出る音だけが淡々と響く。
「くっんっ、あぁ・・・・・・まさ・・・むね様・・・・・・そのように、されては、小十郎・・・・・・」
「うるせぇ。ちんたらやってたら、お前が風邪引くだろうが。そうすると俺が困る。とりあえず、一回終わらす」
 これで手放すつもりなど毛頭なかった。
 今度は念入りに、小十郎の身体とチョコレートを堪能したい。
 その為には、この一回は欲を満たすだけのようなもの。
 ガクガクと振動する小十郎の身体をしっかりと固定し、政宗は何度か激しい突き上げを施す。
 響く艶やかな喘ぎ声を必死に隠そうとする小十郎。
 それでも、政宗が彼の胎内いっぱいに射精した時は、開放感からかなんとも言えない吐息を漏らしたのだった。

「申し訳ございません、政宗様。小十郎が考えなしの行動をしたせいで・・・・・・」
「たしかに、な。が、野外でするのも悪くねぇ・・・・・・少し暖かくなったら、もう一度。いいな、小十郎」
「仰せのままに」
「よし、まだ俺のアレは元気でよ、お前の中から出たくねぇって言ってんだ。だから、暴れんじゃねぇぞ、小十郎」
 一瞬何を言われているのか、小十郎には理解できなかった。
 互いに向かい合っていた体制から、くるりんと180度向きを変えられ、政宗が背後から小十郎を抱きかかえる。
 そのまま脱ぎ捨ててある衣類を、乗ってきた馬の鞍にひっかけ、小十郎を抱いたまま馬に飛び乗る。
「ま、政宗様・・・・・・まさか」
 悟ったのか、小十郎に焦りの汗が滲み出る。
「はっ!!」
 掛け声と政宗が手綱を引くのが同時だった。
 馬は前足を高く上げ、その反動で力強く駆け出す。
 ガッ・・・クンと身体が大きく揺れ、繋がったままの場所も大きく上下する。
「ひっ・・・んっ・・・」
 気をつける心構えより早く、身体が過敏に感じ、小十郎は不本意にも艶のある吐息を漏らす。
「いいね、いいねぇ〜今の吐息。その調子じゃ、屋敷に着くまでの間に一回はイッてしまいそうな勢いだな、小十郎」
 政宗の高々な笑いと、蹄の音が尾を引く中、小十郎の懇願は敢無く玉砕したのだった。





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