SANTA came over in OSHU

政宗×小十郎


「Hey! Kojuro who will enjoy ! 楽しいX’mas nightだぜ。そう思うだろう?」
「はあ……あ、いや政宗様。小十郎の事はいいので前を向いて……」
「はあ? おっと……危ねぇ危ねぇ。雪が凍ってんじゃねぇか」
「それはそうでしょう。こんな丑三つ時。常識ある人なら家で寝ています」
「なんだ? それじゃまるで、俺が非常識だとでも?」
「そこまで言っていませんが。はあ、ったく。何をしたいのかわかりませんが、早くやってしまいましょう」


 季節は冬。
 師走間近のとある日。
 南蛮渡来のある人物から聞いた話を実行しようと、ほぼ一年近く前から楽しみにしていた伊達政宗は、見よう見まねで呉服屋に作らせた、南蛮人がこの時期ある人物が着るのだという衣服に身を纏い、人ひとりとして出ていない丑三つ時、抜き足差し足で城の中庭を突っ切っていた。
 真っ赤な衣服。
 闇夜にもとても映えて見える。
 中庭を挟み対する渡り廊下に辿り着くと、小十郎は担いでいた白い袋をドサッと置いた。
「なんだ、もうへこたれたのか。情けないな。年寄りにはまだ早いだろ」
 茶化す政宗に冷ややかな視線で答える。
「いったい誰のおかげでこうなっていると? いくら鍛えているとはいえ、毎晩に飽き足らず盛っているあなたに付き合わされる身にもなっていただきたい」
「使う筋肉がちがうのか? ンなもん。回重ねれば鍛えられるだろう」
「ああいう行為を鍛える意味がありません」
 キッパリと跳ね返す小十郎に、政宗はつまらなさそうに口を尖らせた。

「それで? ここからどうするおつもりで?」
 ひと息つくつもりで下した荷物をまた担ぎ直し、小十郎が問う。
「天井裏に向かう」
 なぜ天井裏?
 その意図は答えてもらえず、小十郎は言いたい小言を飲み込み、政宗の後に続いた。
 住んでいても行く必要性のない天井裏。
 蜘蛛の巣をかき分け奥へと進むと――
「なんだ? 武田の忍びじゃねぇか」
「武田の忍びって。人を呼びつけておいてそれはないんじゃないの?」
「俺は呼びつけた覚えはない」
「やっぱり。てことは、竜の旦那の独断?」
「小十郎に言えば反対するから、な」
「当然です」
「ああ、その主従痴話喧嘩は後にしてくんない? 俺様もさ、旦那にはもちろん、お館様にも黙って甲斐を抜け出してきたんだよね。早朝には戻りたいわけ」
「おお、すまん。頼まれて欲しいのは、この品々を奴らの枕元にある足袋の中に入れてきて欲しいんだ」
 なぜ足袋の中?
 小十郎と佐助が同時に疑問の顔をする。
「あっちの国じゃ、ベッドという寝台に靴下なるものをぶら下げるらしい。ここには両方ないから、足袋で代用する。あいつら、今年一年よく頑張ってくれたからな、俺からのX’masプレゼントってやつだ」
「X’masプレゼント……とは?」
「小十郎、いちいち煩え。後で説明してやる」
 小十郎の存在を無視し、佐助に白い袋を手渡した。
「恩にきるぜ、佐助」
「いいですけどね。ちゃんと約束を守ってくれさえすれば」
「約束? 何を約束されたのです、政宗様」
「真田幸村との一騎打ち。近いうちに相手をすると約束をした」
「また勝手なことを――」
 ――が、その程度でよかったと安堵した。


 ★★★

 佐助が天井裏から姿を消す。
 手始めに真下の部屋に寝ている臣下の足袋の中にひとつ。
 続いて隣の部屋と、軽い足取りで配り始めた。
「見事なものだ。あの業だけはどんなに訓練しても我々にはできない」
「だから、あいつを呼びつけた。気配もなく物音立てず、速やかに配る。人間業じゃできねぇ」
「それで、彼らには何を?」
「伊達政宗お手製の『ずんだ餅』かなり改良したから、美味なはずだ」
「ああ、政宗様お手製の、あのとても評判のよかった菓子ですね。――……政宗様、そこに座ってください。正座で」
「ああ?」
「いいから座ってください。食べ物を足袋の中に入れるとは、どういうことです? 行儀悪いとは思わなかったのですか? 口の中に入れるものですよ?」
「別にそのまま入れている訳じゃねぇし。構わないだろ」
「しかしですね。上に立つ者がそういう軽はずみなことをしてもらっては、家臣に示しがつきません。やってしまったことは仕方ありませんが、このようなことは今年限りにしていただきたい」
「小十郎。おまえ、聖夜ってとてもロマンティックな夜にまで小言か? 年寄りくせぇな、まったく。軽いジョークだよjoke。固いこと言うなよ。シラケるだろ。ほら、こっち来いよ。ただ待っているってのは寒くて凍えちまう」

 良かれと思ってやっているということは、小十郎にもよく理解できていた。
 しかし、奥州の冬は長い。
 雪が積もれば、食料が限られてくる。
 今年は豊作、貯蔵もあるから飢えにはならないが、毎年同じだとは限らない。
 それ故、食べ物を履物の中に忍ばせるという行為が、どうしても受け入れることができなかったのだ。

 しかし、凍えてしまうという政宗の言葉も一理。
「仕方ありませんね」
 そう言って政宗を抱き寄せたのは小十郎の方からだった。
「温かいな、小十郎の腕の中は」
「そういう政宗様の身体は、少し冷えていますね」
「そうだろう? ゾクッって寒気がする」
「薄着で出歩くからです」
 真っ赤な衣服の下は生肌。
「しょうがねぇだろ。着物の上から羽織るって考えがなかったんだ」
「計画性が乏しいですよ、政宗様」
「こういう時にまで小言は聞きたくねぇ。温めろよ、俺を」


 ★★★

 政宗の手が小十郎の股間へと伸び、冷えていた中央のモノを起こさせる。
「まさか、ここで? 我々は忍び込んでいるのですよ?」
「忍び込んでいたって、ここは俺の城だ。俺の城で俺が何をしようと勝手だろ。まだ小言が続き拒むなら、このまま突っ込む」
 冷えた身体は柔軟性が乏しい。
 開きたくても上手く身体は開かない。
「いや、わかりました。1回だけですよ」
 受け入れてしまった小十郎の言葉。
 その言葉の直後、政宗の手は股間のモノとその奥にある秘所の中、同時に弄り始めた。
「政宗様、そんな激しく……」
「時間がねぇし、寒い。協力しろ。小十郎も動け」
 自分から動いて受け入れる準備をしろと言う。
 小十郎の手が政宗のモノを握ったのはその少し後だった。
 ぎこちない手の動き。
 それでも確実に政宗のモノは変貌していった。
「我慢できねぇから、もう突っ込む」
 いつにも増してせっかちに貫かれる。
「んっ……」
 異物が入る感覚は、冷えた身体でもしっかりと感じてしまう。
 まだ殆ど濡れていない秘所の中、内膜が引っ張られる感覚も、また余計に感じる要素となっていた。
「声を出すな。つっても、感じやすい小十郎の身体じゃ無理か。口、塞ぐ?」
 答える間もなく、政宗の唇によって塞がれる。
 息苦しくて離れようとすると、舌が吸いついて引き戻される。
 座ったまま、政宗の膝の上、小十郎の身体が揺れる。
 政宗の腰が上下に振り動き、いっそう小十郎の身体が小刻みに揺れ動く。
「ふっ、んっ……」
 塞がれていても溢れる吐息。
 しかし次第に身体の芯から火照りが蘇る。
 政宗の額には微かに滲む汗。
「やっぱ、温めるのには最適だな」
「それはわかりました……が、中出しはやめてください」
「無理。ここに撒き散らせないだろう。だから、小十郎の身体の中に入れて持ち帰る」
「冗談――」
 体内に残るあの液の感覚は、気持ちいいものではない。
 生暖かい糸が股の間を伝う感覚が嫌い。
 この場は収められても、立ち上がって歩けば滴ってくるに決まっている。
「外に出たらまた突っ込んで掻き出してやるから」
「この寒い外で? 付き合いきれん」
「ウダウダ言ってンじゃねぇ。小十郎は俺の私物。黙って受け入れていればいい」
 会話はもう必要ない。
 何かを言いだそうとする小十郎の口を再び塞ぎ、あと数回で射精するまで高ぶらせる。
 ――と、その矢先、ジッと見る視線があった。


「いやね、俺も野暮なことはしたくないし、言いたかないけどさ。人に配って来いといって、ふたりで良いことしているなんて、ちょっと酷くない?」
 佐助の半ば呆れた視線だった。
「小十郎はやらんぞ?」
「くれる、言われても困るって。だって竜の旦那の精液まみれの中に突っ込む趣味ないから」
「そっか。そりゃよかった。配り終わったのか? 早かったな。だったら、戻っていいぜ」
「だから、本当に人使いが荒いって……」
「でも、いいもん見れただろ」
「まぁね。片倉小十郎、実は淫乱だった――なんて、滅多に見られない。って、いいの? その当人、硬直してね?」

「あれ? おい、小十郎……小十郎?」
「あらら、竜の右目は白目向いて気絶しているよ。相当衝撃だったンだね……俺様に見られたのが。ご愁傷様。つうことで、俺様は退散させてもらうよ。じゃ!」


 片倉小十郎は身体を硬直させ、しっかり政宗のを下の口で咥えたまま決して離さない。
 ふたりは繋がったまま――
 どちらにしても小十郎をなんとかしないことには、政宗もこの天井裏にいなくてはならなくなる。
 政宗は叫ぶ。
「小十郎、小十郎……小十郎!!」
 突然の叫び声に飛び起きた家臣一同。
 何事かと天井裏を覗かれ……
「散れ!! 俺の小十郎は見世物じゃねぇぞ!!」


 以後、断固たる意思にて小十郎が否と言い続け、奥州内ではX’masに因んだありとあらゆる事が禁止かつ禁句になったという。


 お粗末


 

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