夕涼み
佐助×小太郎
滴がしたたる髪。
着なれない着物。
縁側で膝を抱える風魔小太郎に、伝説の忍と言われている独特の殺気は全くない。
どちらかと言えば、どこにでもいるような青年。
この状況に少し戸惑い照れているような、そんな感じにしか見えない。
その小太郎の背後から、佐助は愛しいものを大切に扱うように抱きしめた。
昼間の暑さも、陽が陰ると次第に気持ちいい風を漂わせる。
湯浴み後の火照った身体を適度に冷ますように。
それでも、着なれない着物から見え隠れする肌の露出は、これから変わる夜風には毒。
小太郎の身体を覆うように重なった佐助の身体。
肌の温もりと圧し掛かる重みに、小太郎が振り向くと――
そこに唇が来ることを予期していたかのように、佐助の唇が。
咄嗟に振り向く動作を止めようとしたが、もう遅い。
佐助の唇が小太郎の唇に触れると、もう逃がさないとばかりに深く重なりあった。
吸い付き貪るように求める唇と舌の動きに、小太郎は購うことが出来ない。
佐助に主導権を握られたまま、彼の腕の中に沈んでいく――
「可愛いな、おまえ……」
必死にしがみつき、戸惑いながらも佐助に身体を預けるしかない小太郎の仕草に、佐助はポロリと言葉を漏らす。
やっと解放された唇だが、細い糸のような粘膜がまだふたりを繋げていた。
佐助の言葉と、目の前の状況。
それが何を意味しているかくらい小太郎にもわかる。
自分の置かれた状況を受け入れると、恥ずかしさだけが募っていく。
無意識に、できるだけ考えないようにしていても自然と頬が紅色に染まっていくのが、はっきりとわかる。
――待って……!
とでも言っているのか。
咄嗟に小太郎が手で佐助の身体を阻止する。
抱いたまま押し倒そうと重心を預けてくる佐助の身体を――
「今更だろ、小太郎。そういうのって、結構俺様をその気にさせ煽っているようにしか見えないが?」
イヤよ嫌よもなんとやらって、ね――
佐助の言葉が小太郎の耳元で囁く。
その言葉に耳まで紅色に染めていく。
――可愛いな、耳まで赤くして……
また囁く佐助の言葉。
阻止する腕の力が抜けていく瞬間を、佐助は見逃さなかった。
一瞬にして小太郎を押し倒し、着慣れない着物が着崩れていくのをいいことに、手を忍ばせていく。
胸の突起物から、下半身のモノにまで。
帯で締めたと言っても、腰周りだけ止めたのでは意味がない。
素肌に羽織っただけの着物に、服としての意味を成していなかった。
「……ンッ……」
吐息を漏らすように、声にもならない喘ぎがこぼれる。
胸の突起物を指で弄られ、舌で掬うように舐められた後、舌先で転がされる。
瞬く間に硬く立つ突起物は、敏感に感じやすい。
涼しい夜風――
その筈が、小太郎の身体とその周辺だけはとても火照りだしていた。
「はっ……ンッ……」
呼吸と共に零れる喘ぎ。
胸の突起物以上に下半身のモノは反応する。
佐助の手の中で育ったソレは、夜空に向かい勃ちあがり、解放に向かい割れ目から雫を垂らし出してきた。
「まだ、だ。まだ、俺が入れていない。そうだろ、小太郎」
着物の裾を捲くり、両脚を大きく左右に開く。
さっきまで胸を弄っていた舌が、今度はその勃ったモノを舐める。
こぼれた雫を舐めて、口に含むとそのまま小太郎の唇と触れ合い、舌に乗せたまま忍ばせた。
「ふっ、ンッ……」
口内に広がる苦味に、小太郎の顔が歪む。
「おまえの味。なかなか雄っぽいだろ。俺のも試して見る?」
佐助の言葉に逆らえる筈も無い。
火照った身体を沈めてくれるのは、彼しかいないのだから。
佐助の腕に引っ張られ、再び身体が起き上がると、そのまま前屈みになることを要求される。
言われたまま前屈みになると、自然と佐助のモノを銜えるような動きになっていた。
「いい感じだ。そのまま舌で舐めて……小太郎」
咥えたモノ。
口内に佐助の味がする。
「まだ、これからだろ。ちゃんと味あわせてやるから、しっかりしゃぶれよ」
舌でモノを包み、頭を上下に動かすと、口内で確実に佐助のモノが変化していっているのがわかる。
隙間もないほど佐助のモノで埋め尽くされると、残るのは苦しみだけ。
呼吸するのもつらく、目頭が熱く涙が浮かび上がる。
「泣くには早いだろ、小太郎。それとも、つらいか?」
――辛い……
正直、ツライ以外の感覚がない。
だけど、もう止まらないところまで来てしまっていた。
我慢するというのとも少し違う。
最後まで奉仕しなくてはならないという責任とも違う。
純粋に、佐助に喜んでもらいたい――その気持ちが増していた。
◆◇◆◇◆
「はっ……ンッ……」
身体がひとつに繋がってどれくらいの時が過ぎただろうか。
何度こうやって貫かれただろうか。
着慣れない着物がまた精液で湿っていく。
もう、誰が射精した精液かなんてわからない。
それでもまだ止まらない欲望。
「スゲッ……」
愛を語る言葉も出尽くし、ついでた佐助の言葉。
貫く方より貫かれる方が体力が残るとはいえ、底なしともいえる小太郎の欲。
自ら腰を振り、果てると進んで佐助のモノをしゃぶってはまた嵌めこみ貪る。
「スゲェ……けど、最高だよ、小太郎」
吐息混じりに言った言葉に、小太郎が笑みを浮かべる。
「そんなに俺様の身体ってツボだったのかよ。そうならそうと、もっと早くから開花してくれよ」
はじめて小太郎を抱いたのは、いつだったか。
嫌がられるわけではなかった。
拒むこともなかった。
ただ顔を背け、恥じらいながら佐助の言葉に従っていた小太郎。
初々しさがまた佐助のツボでもあったのだが――
「そういう大胆なおまえも結構好きだぜ。愛している――」
佐助の言葉に、小太郎は身体を張って応えるのだった。
◆◆完結◆◆