●● 乱舞 --- 武田軍×小十郎 ●●
ぶるっ―――と寒さを身体に感じ、佐助は腕に抱いていた者をもっと抱きしめ、己の身体を温めようと引き寄せるが、ある筈の者の感触がなく、目覚める。
「小十郎?」
手探りで辺りを探すが、届く範囲にいない事実に、身体が飛び起き、半分寝ぼけていた意識もハッキリと目覚めてしまった。
確かに、寝入る前、先に昇天し寝入ってしまった小十郎の裸体を抱いて寝た記憶はあるのだが、その小十郎の姿かたちが存在しない。
布団に残る温もりもないことから、かなり前にここからいなくなったことを示す。
自力でいなくなれる程、体力があるとは思えない。
それくらい計算して激しく抱いたのだから。
「けど、あいつなら這ってでもここから出て行くかもしれないな」
佐助はそんなことを思い、ポツリと呟いた。
時間の経過を肌で感じ取ってみれば、まだ朝には早い。
折角お館様が用意したこの部屋、どうせならば朝までゆっくり使わせて貰おうと、もう一眠りする為、かけ布団を引っ張り、身体全体にかけ直したその時、ふすま1枚隔てた先から、ぐぐもった何者かの声らしきものが漏れ聞こえてきた。
こんな時間帯に、一体誰が?
佐助は慎重にふすまの隙間から、その奥を覗き見、言葉を失った。
最初に佐助の眼に焼きついたのは、小十郎の露な姿、そして踊るように乱れる要因を作っている自分の主、幸村の姿だった。
「何やってんの、ダンナ―――!!」
荒々しくふすまを開け、隣りの部屋に駆け込むように入り込む。
背後から抱き、下から突き上げている幸村の肩に手を置き、ふたりの身体を引き剥がそうとしたが、しっかりと小十郎の秘所が幸村のモノを咥え込み、離さない。
いや、離さないのは、幸村の抱きかかえている腕も同じであった。
更に小十郎は黒光りしているモノを口に咥えて、むしゃぶりついている。
「お、館様―――?」
幸村から小十郎、そして信玄へと視線が流れていき、佐助は言葉に詰る。
なんで―――?
その言葉が何周も渦を巻くが、答えなど出はしない。
「おう、佐助。これはなかなかの身体をしているようだな」
小十郎の頭を撫でながら信玄が満足げに言う。
「それはそうでしょう、お館様。某の佐助が手懐けた代物、ただいい身体をしているだけではござらん」
「うむ、そうよのう幸村。おまえはいい部下を持っておるな」
「はい!! お館様にそう仰っていただけ、この幸村、これ以上の思いはございません」
「って、ダンナ―――!!」
会話を遮り、やっと自分の存在をふたりに気付かせた。
「おう、佐助。なかなか起きなかったので、勝手に味見させてもらっている」
「味見って、ダンナ。それはないでしょう?」
「なに、こやつはおまえのモノってわけではないだろう?」
「そうだけど、お館様とだなんて、誰だって想像しないだろう?」
「そうか? お館様は随分とこやつの事、気に入っていたみたいだぞ?」
だからか―――
幸村の発言に、全ての辻褄が重なり一つとなる。
どうもおかしいと思っていたのだ、武田信玄ともあろうお方が、一介の雇われ忍びにここまでするなど。
だがその術中に簡単にハマッてしまったのは、自分の浅はかさが物語っている。
「ほれ、佐助。おまえも楽しめ。今日夕刻にはこの者を奥州の小倅に返さねば、何かと煩かろう」
確かに信玄の言うことも、もっともだが、今日この男は無事帰れるのだろうかと、乱れ狂う姿の小十郎を見て佐助は思った。
「なぁ、そんな顔して乱れてさ、気持ちいいわけ? どっちがいい? ダンナ、それともお館様? 社交辞令ででもいいから俺って言ってくれると、嬉しいんだけど・・・・・・片倉小十郎」
問うてみても、小十郎の視点があっておらず、到底佐助の言葉を理解しているとも思えない。
「気になるならば、抱けばよいだけ、そうであろう、幸村」
「はい、お館様。こやつ、とてもいい締りをしております。適度な締め付け、潤いのある内壁と滴る汁。理想的です。よい躾をしたな、佐助」
「それはどうも―――って、違うだろ、ダンナ。そういうんで手を付けた訳じゃないから」
「ん〜? そう焦るな佐助。もう少しで終わる。そしたらお館様の番。空いた口で楽しめばいい」
「ダンナは?」
「これで三連発。暫し休ませてもらう」
「って、もう三回も抜いたの? いつから遊んでいるのさ」
もうどうにでもなれ―――佐助の素直な心境だった。
予告した通り、幸村は小十郎の胎内に白い液体を撒き散らし果て、そのままその床に腰を下ろしモノを引き抜く。
すかさず信玄がその秘所に黒光りのモノを差し込むと、小十郎は艶やかな声で早々に鳴きだした。
口を塞がれていたのにあの喘ぎ、今空いた口からはどんな音色の喘ぎを聞かせてくれるのか、佐助の興味がそそる。
「んっ・・・・・ふっぐっ・・・・・・」
「ふむふむ、よいのう、この締り具合。少し千切られそうな感じもしないでもないが」
「って、それはお館様のモノがデカ過ぎるからでしょう?」
「確かにのう、こやつの中はわしのでいっぱいいっぱいじゃ。しかし、口の中は佐助のモノでいっぱいであろう?」
「そうですけどねぇ。お館様のデッカイのの後だから、小十郎が物足りないって唸っているみたいで、素直に喜べないんですよね」
などと会話をしながらも、互いの腰の動きに容赦はない。
小十郎は、先ほどより口の中にゆとりが出来たのか、かなりはっきりと喘ぎ声を惜しげも無く響かせている。
腰のくねりが幸村の時より静かに見えるのは、単に信玄の突き上げの方が幸村より激しいということだろう。
それとも、突っ込まれただけで満足とか?
憶測と、目の前の小十郎が重ならない訳ではないが―――
「どうよ、小十郎。楽しんでいる?」
口の中のモノを少しだけ抜き尋ねる。
「くっ・・・・・・あまりこの小十郎を嘗めるな・・・・・・くっんっ、あぁ・・・・・・あっんっ・・・・・・」
「って凄まれても、その後にそんな鳴き声聞かされちゃあ、楽しんでいるって言っているようなものだ」
「実際そうなのではないか? 見ろ、この汁で出来ていく水溜り。ちょっとした湖みたいではないか」
少し離れた場所から幸村が指摘する。
「いい男が三人、お主の相手をしておる。ありがたいと思え。素晴らしい接待を受けたと、奥州の小倅に伝えるのだぞ? 片倉小十郎」
信玄が念を押すが、それには反応しない。
それに対し、信玄のモノが深くより深く入り、下から抉るように突き上げる。
「ひっ、いっんっ・・・・・・、やめ・・・・・・あっあぁ・・・・・・」
「お館様〜、そんなにしたら壊れちゃいますよ? 今日帰すんでしょう? 余力残しておかないと」
「では佐助が手加減せぇ」
「はい? それはずるいでしょう、お館様。俺のだって」
こんなにも硬く勃起しちゃたのに―――
自分のモノを眺めて呟く。
「佐助、お館様の後、おまえが介抱すればいい」
「うむ、この後幸村と出かけるのでな、後は好きにするがよい」
だが、程々になと付け加える。
ようするに、勝手に楽しむだけ楽しんだ後はどうでもいいと言っているのだ、この主従は。
「殺生な。ひとりで帰すのか、迎えがくるのか? どちらにしても、俺にとっては生殺し状態じゃないですか」
ぼやく佐助などお構いなしに、信玄のモノが小十郎の胎内で達する。
白い液体が逆流し、少し萎えた黒光りが排泄したかのように表に出る。
信玄と幸村がすっきりとした顔で退室していくと、中途半端に高ぶっている佐助と、意気傷心した小十郎だけが残された。
「その、悪い」
「そう思うなら、入れているモノを抜け」
「それはちょっと今は無理。だって勃っちゃったんだもん、俺」
「俺の知ったところではない。帰らせろ」
「帰るって、そんな身体で? その斑点、早々消えないと思うよ?」
小十郎の胸板などに残る、愛撫の跡を指摘する。
羞恥と半ばの怒りとが混ざり合ったような顔をして、佐助を睨みつける。
「全然迫力ないから。とりあえず、俺の腕の中に身体預けてよ」
払いのけたくとも小十郎の身体に、そのような体力と気力は残っていなかった。
自分の意志とは逆に、身体は当然のように佐助に寄りかかり、勃起してしまった佐助のモノを素直に受け入れて感じてしまう。
「んっ・・・・・・」
「優しくする。約束する。途中まで送るから」
「勝手にしろ、色ボケ野郎。大将が大将なら、その家臣も家臣。その家臣の部下はもっと始末悪いものだな」
投げやりのような言い方だが、本人の身体は言葉と反して佐助の身体に擦り寄っていく。
信玄や幸村相手に踊っていたのとは違う乱舞を見せながら、別れの時までの僅かな時間を楽しむ二人だった。
完